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“より長く働くことができる”中小企業が増加中
厚生労働省から、平成29年「高年齢者の雇用状況」(6月1日現在)が公表されました。これは企業に求められている毎年6月1日現在の高年齢者の雇用状況の報告を基に、「高年齢者雇用確保措置」の実施状況などを集計したものです。なお、雇用確保措置を実施していない企業に対しては、都道府県労働局・ハローワークは重点的な個別指導を実施するとのことです。
今回の集計では、従業員31人以上の企業15万6,113社の状況がまとめられています。この結果から中小企業(従業員31人~300人規模)の状況を見てみましょう。
・「定年制の廃止」および「65歳以上定年企業」
定年制の廃止企業は4,064社(前年比変動なし)、割合は2.6%(同0.1ポイント減)となり、定年を65歳以上としている企業は2万6,592社(同2,115社増)、割合は17.0%(同1.0ポイント増)となりました。
このうち、定年制を廃止した中小企業は3,983社(同1社増加)、2.8%(同0.1ポイント減)でした。また、65歳以上定年としている中小企業は2万5,155社(同1,968社増)、18.0%(同1.1ポイント増)でした。
・「希望者全員66歳以上の継続雇用制度導入」
希望者全員が66歳以上まで働ける継続雇用制度を導入している企業は、8,895社(同1,451社増)、割合は5.7%(同0.8ポイント増)となり、このうち中小企業は8,540社(同1,393社増)、6.1%(同0.9ポイント増)という状況です。
・「70歳以上まで働くことができる」
70歳以上まで働ける企業は、3万5,276社(同2,798社増)、割合は22.6%(同1.4ポイント増)となり、このうち中小企業は3万2,779社(同2,504社増)、23.4%(同1.3ポイント増)という状況です。
・労働人口減への対策
以上のように、2025年までに700万人が減ると言われている日本の人口問題を抱え、人手の確保のため、定年制の廃止やさらなる定年延長を行う中小企業は着実に増加しているようです。継続雇用制度に伴う規程類は定期的に見直しておきましょう。
また、再雇用に伴う賃金や職種変更を行う場合は、より慎重な検討が必要です。
来年1月から労働者の募集や求人申込みの制度が変わります。
平成29年3月31日に職業安定法の一部の改正を含む「雇用保険法等の一部を改正する法律」が成立しました。職業安定法の改正については、平成29年4月1日、平成30年1月1日、公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日の3段階で施行されます。
今回は、来年1月1日から施行される、労働者の募集や求人申込みの制度の主な変更点についてご紹介いたします。
・労働条件の明示について
ハローワーク等へ求人申込みをする際や、ホームページ等で労働者の募集を行う場合は、労働契約締結までの間、業務内容や契約期間、就業時間、賃金といった労働条件を明示することが必要ですが、今回の改正で、当初の労働条件に変更があった場合、その確定後、「可能な限り速やかに」、変更内容について明示しなければならなくなりました。
面接等の過程で労働条件に変更があった場合は、速やかに求職者に知らせるよう配慮が必要になります。
・最低限明示しなければならない労働条件等
労働者の募集や求人申込みの際には、書面の交付によって明示しなければならない労働条件が定められていますが、今回の改正で、「試用期間」、「裁量労働制(採用している場合)」、「固定残業代(採用している場合)」、「募集者の氏名または名称」、「雇用形態(派遣労働者として雇用する場合」)の明示が追加事項とされました。
・変更明示の方法
以下のような場合には、変更の明示が必要となりました。
(1)「当初の明示」と異なる内容の労働条件を提示する場合
例)当初:基本給30万円/月 ⇒ 基本給28万円/月
(2)「当初の明示」の範囲内で特定された労働条件を提示する場合
例)当初:基本給25万円~30万円/月 ⇒ 基本給28万円/月
(3)「当初の明示」で明示していた労働条件を削除する場合
例)当初:基本給25万円/月、営業手当3万円/月 ⇒ 基本給25万円/月
(4)「当初の明示」で明示していなかった労働条件を新たに提示する場合
例)当初:基本給25万円/月 ⇒ 基本給25万円/月、営業手当3万円/月
なお、変更内容の明示については、「変更前と変更後の内容が対照できる書面を交付する」、「労働条件通知書において、変更された事項に下線を引いたり着色したり脚注を付けたりする」など、求職者が変更内容を適切に理解できるような方法で行う必要があります。
中小企業の7割近くが「賃上げ」を実施、その理由とは?
10月下旬に、経済産業省より平成29年「企業の賃上げ動向等に関するフォローアップ調査」の結果が発表されました。
この調査は「大企業調査」と「中小企業調査」にわかれており、前者は東証一部上場企業2,001社に調査票を送り364社が回答(回答率18.2%)、後者は中小企業・小規模事業者30,000社に調査票を送り8,310社が回答(回答率27.7%)しています。
・中小企業が積極的に賃上げを実施
平成29年度に常用労働者の賃上げを実施した大企業は89.7%(前年度90.1%)、正社員の賃金を引き上げた中小企業・小規模事業者は66.1%(前年度59.0%)となりました。
前年度と比較すると、中小企業が積極的に賃上げを行っている傾向がうかがえます。
・中小企業が賃上げを実施する理由は?
中小企業・小規模事業者が賃上げを実施した理由について、ベスト5は以下の通りとなっています。
(1)人材の採用・従業員の引き留めの必要性(49.2%)
(2)業績回復・向上(34.3%)
(3)他社の賃金動向(21.6%)
(4)最低賃金引上げのため(11.4%)
(5)業績連動型賃金制度のルールに従った(15.3%)
・賃金規定、人手不足に関する状況
なお、中小企業・小規模事業者において、賃金表等を含む賃金規定を「持っている」と回答した割合は61.0%でした。
また、「人手不足・人材不足」を感じていると回答した割合は66.4%、採用活動の方法については「ハローワーク」が最多(78.7%)となっています。
「民間企業の勤務条件制度等調査」の結果にみる休暇制度の状況
- 2017年12月07日
- 社会
「民間企業の勤務条件制度等調査」は、人事院が、国家公務員の勤務条件等を検討するにあたっての基礎資料を得ることを目的として、民間企業の労働時間、休業・休暇、福利厚生および災害補償法定外給付等の諸制度を調査するものです。
今回は、平成29年9月28日に公表された平成28年分の調査結果から、休暇制度に関するものを見てみましょう。なお、常勤従業員数50人以上の全国の7,355社を対象として行われました(調査に適格な4,438社について集計。内容は平成28年10月1日現在におけるもの)。
・失効年次有給休暇の積立制度
失効した年次有給休暇を積み立てて使用することができる制度がある企業は、正社員に関して制度がある企業で平均29.6%となっています。規模別では、従業員500人以上の企業では54.6%、100人以上500人未満では31.0%、50人以上100人未満では19.2です。
一方、有期雇用従業員(労働時間が正社員の4分の3を超える従業員。以下同様)に関して制度がある企業で平均12.1%となっており、正社員に対するものと比較して導入率は低くなっています。
また、正社員に失効した年次有給休暇を積み立てて使用することのできる制度がある企業の中で、積立年休に使用事由の制限がある企業は74.9%となっています。こちらは、規模の大きい企業ほど制限のある場合が多く、500人以上規模では91.8%、50人以上100人未満では55.9%です。制限事由別の割合(平均)としては、私傷病(96.4%)、介護(58.3%)、看護(46.2)、その他(39.7)などで、だいたいどの企業規模でも制限事由の設定については、同じような割合となっています。
・有期雇用従業員の年次有給休暇以外の休暇
年次有給休暇および失効年次有給休暇の積立制度の制度とは別に、有期雇用従業員に対する休暇制度についても調査されており、次のようになっています(平均値)。
・私傷病休暇がある企業…21.1%
・夏季休暇がある企業…31.9%
・結婚休暇がある企業…57.1%
・有給の子の看護休暇がある企業…19.8%
・有給の介護休暇がある企業…18.3%
人材確保策として有効? 今どきの「社員寮・社宅」事情
- 2017年11月27日
- 社会
今、社員寮や社宅を復活させたり充実させたりする企業が相次いでいるようです。
福利厚生の充実ぶりをアピールすることで、優秀な人材を確保したいという企業側のねらいが背景にあるようです。
・今どきの社員寮・社宅
これまでも、企業は採用状況が厳しくなると社員寮の充実に力を入れる傾向がありましたが、昔のような相部屋では、今どきの若者には敬遠されてしまいます。
そのため、家賃が安く、なおかつ“プライバシーが確保されつつも、入居者同士が適度に付き合える”環境を整備した社員寮が人気のようです。
・社員寮・社宅の効用
人材確保という面では、社員寮に入居すれば社員の親にも安心してもらえるので、採用活動にプラスになるというメリットがあります。また、食事の提供などによって社員の健康対策・メンタル対策としての役割や、災害時には社員の安全を守り、業務の早期復旧を目指すという目的もあるようです(実際、社員寮に非常食や発電機、防災井戸を備えている所もあるそうです)。
他にも、自社の社員だけでなく、複数の企業の社員が共同で暮らす社員寮も出てきており、会社の枠を超えての交流ができると人気のようです。
このように、社員寮は人材の確保・離職防止に役立つだけでなく、共同生活によって社員同士のコミュニケーションが増えることで連帯感が生まれたり、職場の活性化にもつながったりすることから、会社だけでなく社員の側からもその重要性が見直されているようです。
社員寮・社宅は、運営コストかかり業務が煩雑であるため、企業にはそれなりの負担がかかりますが、それ以上の効用が会社・従業員双方に期待できそうです。
・社宅がある企業の割合
人事院が行った「平成28年 民間企業の勤務条件制度等調査」の結果によると、常時従業員数50人以上の全国の企業4,438社のうち、社宅を有する企業の割合は46.8%となっています。
また、保有形態別(社宅を有する企業を100とした場合)でみると、自社保有社宅を有する企業の割合は31.2%、借上げ社宅を有する企業の割合は92.2%となっています(複数回答)。
2017年版「過労死白書」が公表! 労働時間やストレスの実態は?
- 2017年11月16日
- 社会
厚生労働省は、10月上旬に2017年版の「過労死等防止対策白書」(いわゆる過労死白書)を公表しました。この過労死白書は、過労死等防止対策推進法第6条に基づく年次報告書であり、今回が2回目となります
2016年度の過労死に関するデータのほか、民間企業で働く2万人に労働時間やストレスについて聞いた2015年度のアンケート結果を分析しており、電通の違法残業事件や、それを受けた政府の緊急対策も紹介されています。
・労働時間の把握による残業時間減が明確に
上記アンケートの分析では、フルタイムの正社員(7,242人)では、労働時間が「正確に把握されていない」人に比べ、「正確に把握されている」人は週あたりの残業時間が約6時間短く、「おおむね正確に把握されている」人で約5時間、「あまり正確に把握されていない」人でも約2時間短いことがわかりました。
また、残業をする際に「所属長が承認する」といった手続きを踏んでいると、残業が週3~4時間減ることも明らかになりました。
・過労死等の業種別の傾向は?
2016年度に過労死や過労自殺(未遂を含む)で労災認定された人は前年度より2人多い191人で、近年は年間200件前後で推移して高止まりが続いています。
業種別では、運輸・郵便業41人、製造業35人、建設業23人の順に多く、運輸・郵便業では約2割が残業を週20時間以上しており、他業種より際立って多いことがわかりました。
一方、過去5年の過労自殺事例を年代別にみると、従業員100万人当たりの自殺者数は男性が40代(3人)で最も多く、次は50代の2.8人、女性は10~20代が0.4人、30代が0.2人の順でした。
また、従業員100万人当たりの労災認定は、「脳・心臓疾患」「精神疾患」のいずれでも漁業が最も多いという結果も明らかになりました。
・自営業者の長時間労働も明らかに
白書では、自営業者の長時間労働の実態も調査・報告しており、昨年、週60時間以上働いた自営業者の割合は13.6%で、全雇用者の平均(7.7%)を大きく上回りました。週60時間以上働いた自営業者のうち、80時間以上働いていたのは1.5%。労働時間や日数の把握方法については、全体の73.4%が「特に把握していない」と答えています。
厚生労働省ではこれらの調査結果をもとに、労働時間の適正な把握を促して長時間労働の是正を図るとともに、事業主に対する監督指導の徹底、労働者に対する相談窓口などの充実などで、過労死等ゼロに向けた取組みを強化するとしています。
ガイドライン「労働時間等設定改善指針」「育児・介護休業指針」が改正されました
- 2017年11月10日
- 法改正
・10月1日より適用
年次有給休暇や子の看護休暇・介護休暇を取得しやすい環境整備を推進するため、「労働時間等設定改善指針」および「育児・介護休業指針」が改正され、10月1日より適用されています。
いずれも企業に対して義務を課すものではありませんが、「配慮」等が求められていますので、それぞれのポイントをご紹介いたします。
・「労働時間等設定改善指針」の改正点
<ポイント1>
「地域の実情に応じ、労働者が子どもの学校休業日や地域のイベント等に合わせて年次有給休暇を取得できるよう配慮すること」が盛り込まれました。
<ポイント2>
「公民権の行使又は公の職務の執行をする労働者について、公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行する労働者のための休暇制度等を設けることについて検討すること」が盛り込まれました。
<ポイント3>
「仕事と生活の調和や、労働者が転職により不利にならないようにする観点から、雇入れ後初めて年次有給休暇を付与するまでの継続勤務期間を短縮すること、年次有給休暇の最大付与日数に達するまでの継続勤務期間を短縮すること等について、事業場の実情を踏まえ検討すること」が盛り込まれました。
・「育児・介護休業指針」の改正点
「子の看護休暇及び介護休暇について、労使協定の締結をする場合であっても、事業所の雇用管理に伴う負担との調和を勘案し、当該事業主に引き続き雇用された期間が短い労働者であっても、一定の日数については、子の看護休暇及び介護休暇の取得ができるようにすることが望ましいものであることに配慮すること」が盛り込まれました。
建設現場の「週休2日制」を実現へ ~建設業の働き方改革~
政府は、建設業の働き方改革として、建設現場の「週休2日制」の導入や雨や雪などの悪天候を考慮した「適正な工期」の設定などを盛り込んだ指針を決定しました。
この指針には罰則はありませんが、建設業の長時間労働の是正に向けた取組みとして、これから発注する公共・民間工事を対象に実施するとしています。
・残業規制の適用に5年間の猶予
今年3月に公表された「働き方改革実行計画」では、原則として全業種で残業時間を年間720時間、繁忙月は100時間未満まで認める上限を設ける方針を決定しましたが、建設業は運送業や医師とともに、施行から5年間の猶予期間が設けられています。
・建設業界の長時間労働の深刻化
建設業は、近年、人手不足による長時間労働が深刻化しています。
国土交通省の資料によると、国内の建設現場の約65%は「4週4休(週休1日以下)」で就業しているとされ、年間実労働時間も建設業は2,056時間(2016年度)と全産業平均より約2割長く働いていることになります。
また、週休2日の確保に向けたアンケートでは、技術者・技能労働者問わず半数以上が「完全週休2日」または「4週8休」が望ましいと考えていますが、実際は15%程度しか取得できていない状況です。
・休日の確保、生産性向上となるか?
建設関係団体は、政府の指針を受けて、建設労働者が休日を確保できるように工事の発注者と受注者の連携や、情報通信技術(ICT)や人工知能(AI)の技術活用など、生産性を向上させる工夫を検討していき、適正な工期設定等に取り組んでいくとしています。
法令違反の多い「自動車運転者を使用する事業場」の実態
厚生労働省から、トラック、バス、タクシーなどの自動車運転者(ドライバー)を使用する業場に対して行われた監督指導や送検の状況(平成28年)が公表されました。
監督指導が行われた事業場は4,381事業場で、前年の3,836事業場より多くなっています。
このうち、時間外労働、賃金台帳の記載内容、健康診断などに関して労働基準関係法令違反が認められたのは3,632事業場(82.9%)、拘束時間や休息期間などに関する改善基準告示違反が認められたのは2,699事業場(61.6%)となっています。
・監督指導等の状況
監督が実施された事業場数の内訳は、トラック:3,105、バス:487、ハイヤー・タクシー:405、その他:384でした。
労働基準関係法令違反については、特にハイヤー・タクシーで86.7%の違反率となっており、主な違反事項としては、どの業種でも「労働時間」「割増賃金」が多くを占めています。
また、改善基準告示違反については、「最大拘束時間」「総拘束時間」「休息時間」「連続運転時間」「最大運転時間」の順で多く指摘されています。
重大または悪質な労働基準関係法令違反による送検件数は60件となっており、前年より8件増えています。すべての業種でもすべて前年より送検件数が増加しており、特にトラックは上昇傾向が続いています。
・省庁間の連携による監督指導・合同監督
以前から、労働基準監督機関と地方運輸機関が、臨検監督等の結果(改善基準告示違反等)を相互に通報する取組みが行われています。労働基準監督機関から地方運輸機関への通報件数は、前年より増え867件となっています。「労基署の監督だから大丈夫」というような考えは、もはや通用しないでしょう。
また、平成28年は、ツアーバスを運行する貸切バス事業場に対する緊急の集中監督指導が行われたため、労働基準監督機関と地方運輸機関による合同監督・監査が行われたバス事業場は130に上りました(平成27年は17事業場)。
社会的に注目される事件・事故を契機に、行政の対応が強化されます。
・健康面の取組みが重要
近年、「健康経営」という言葉もあるように、従業員の健康について社会的な関心が高まっていますし、ドライバーに対する健康診断等も監督・監査での指摘事項に多く上がっています。
人手不足の状況の中、ドライバーが健康を害することはさらなる人手不足を招きますので、「健康」を中心にした労務管理を考える必要がありそうです。
「地域別最低賃金」の引上げに伴う給与計算への影響は?
・昨年度より25円高い848円
2017年度の地域別最低賃金については、8月中旬に各都道府県労働局に設置される地方最低賃金審議会の答申が出揃い、9月中旬には官報公示も出揃いました。
今年度の全国加重平均額は848円で、昨年度に比べ25円の引上げとなりましたが、これは、昨年度に引き続き、現行制度が始まった2002年度以来最高の引上げ額です。
・2023年度には1,000円まで引き上げられる!?
最低賃金は、近年引上げの流れが続いています。時給額のみで表示される現行制度が始まった2002年度には663円でしたが、昨年度に初めて800円を超えました。
これは、政府が中期目標として全国加重平均で最低賃金1,000円を掲げ、毎年3%程度引き上げるとしていることによります。
今年度の引上げ幅も3%となっており、このまま3%ずつ引き上げられると2023年度には1,000円に達しますが、中小・小規模事業者にとっては重い負担となります。
・事業者を支援する助成金制度
最低賃金の引上げにより負担が増す中小・小規模事業者に対し、厚生労働省では、助成金による支援策を設けています。
「業務改善助成金」は、事業場内最低賃金が1,000円未満の事業者を対象に、最低賃金を一定額以上引き上げた場合にかかった費用の一部を助成(上限200万円)する制度です。
・発効による給与計算への影響
引上げ後の最低賃金は、都道府県労働局長の決定・公示により確定するため、発効日は都道府県によって異なり、今年度は9月末から10月中旬までに順次発効される見通しです。
給与計算においては、発効日以降発生する賃金に引上げ後の最低賃金が適用されるため、賃金計算期間の途中に発効日がある場合は注意を要します。最低賃金での時給を適用している従業員がいる場合、賃金計算期間の途中で時給額が変更となるからです。
この場合、発効日を含む月の賃金計算期間から前倒しで時給を引き上げることもできますし、据置きにして、引上げ後の差額を別途支給することもできます。