そろそろ無視できないマイナンバー③ 利用制限
- 2015年05月14日
- マイナンバー
前回に引き続き、マイナンバーについての3回目です。
前回の記事も是非、ご覧ください。 ⇒ そろそろ無視できないマイナンバー②
記載内容は5月1日時点での情報を元に作成しています。
最新の情報は内閣官房、国税庁、特定個人情報保護委員会のHPなどをご覧ください。
前回は利用目的の限定、範囲の規定の途中で終わっていました。
今回はその続きからです。
利用目的を
- ・マイナンバーを提供する本人がどのような目的で利用されるのかを一般的かつ合理的に予想できる程度
に特定する必要があり、
- ・当初の利用目的をと相当の関連性を有すると合理的に認められる範囲で利用目的を変更し、本人に通知を行うことにより変更後の範囲内でマイナンバーを利用することができる。
という、2点について規定されていると前回書かせていただきました。
例えば、源泉徴収に関する事務を処理するのでマイナンバーを教えてくださいと通知をすれば具体的に「一般的かつ合理的に予想」できますし、利用範囲も特定されます。
また、マイナンバーの提供後、毎年の源泉徴収票の作成に使うのだろうとも予想できます。
源泉徴収票を作成する事務において給与支払報告書、退職所得の特別徴収票など書式が一緒になっているものそれぞれが密接に関係している書類ですので利用目的が同じと言えます。
源泉徴収票の作成と健保、厚年の事務はきっても切れない関係であり、「相当の関連性を有する」ことは明確です。
そのため、源泉徴収票の作成で提供を受けたマイナンバーも健保、厚年の事務に利用することも本人に通知を行えば可能です。
- ・原則、本人の同意があったとしても利用目的を超えてマイナンバーを利用してはならない
となっています。これは個人情報保護法と大きく違うところで、個人情報保護法における個人情報は本人の同意があれば提供時の利用目的を超えて利用することができますが、原則、マイナンバーの場合はできません。
しかし、上記であげた具体例のような場合は可能です。法定3分野の範囲内で、非常に関連性の高い事務であり、本人に通知をしているためです。
提供を受けたマイナンバーについてですが
- ・マイナンバーを利用する事務を行うために必要範囲内であればファイル等を作成することができる
ことになっています。これは既存のデータベースにマイナンバーを記載する形でもかまいません。ただし、
- ・マイナンバーが入ることによって安全管理を講じる必要が発生し、マイナンバーに関係のある事務にしか使用することが出来なくなる
点は注意が必要です。マイナンバーに関係のない事務に使用する場合はマスキングやアクセス制限などが必要になります。
これについては安全管理措置のときに詳しく述べます。
マイナンバーを利用するにあたり、利用目的を明確にする、利用目的の変更の場合は本人に通知が必要であることを述べました。非常に面倒です。
しかし、一発で解決する方法があります。それは
- ・就業規則への明記、社内LANでの周知、利用目的を記載した書類等のより、利用目的を包括的に通知することが可能
となっています。就業規則は社内の法律です。適法であれば非常に大きな力を持っています。
厳密にいえば
- ・個人情報保護法の対象となっていない事業者は本人に利用目的の通知等をする必要はない
のですが、そういう事業者も合わせて就業規則の改定を是非お勧めします。
マイナンバーを「必要な範囲内」で利用することは個人情報保護法の対象となっていない事情者にも義務付けられています。
就業規則等での包括的通知が「必要な範囲内」の特定にも繋がり、要らない労使トラブルを避けることができます。
安全管理措置が義務づけられていますが、その観点からも非常に有効です。
今回はマイナンバーが新たに導入されるということなので、既存の従業員様にはマイナンバーの収集への理解等が必要ですので利用目的を記載した書類等と合わせて行うのが良いと思います。
必要であれば社内研修などを行っても良いでしょう。
マイナンバー法の運用開始後、新規に入る従業員様には労働契約時に一緒に済ませてしまうことが考えられます。
以上のように述べてきましたが
- ・事業者に義務付けられている安全管理措置において提供、収集、保管についても規制がある
点は忘れてはいけません。通知が終わればマイナンバーを集めることができるのかと言えばそうではなく、安全管理措置に義務付けられている手順等を踏まなければいけません。
今回はここまで。
マイナンバーの相談は是非、お近くに社労士まで